設立趣旨書

 

設立趣旨書

特定非営利活動法人子ども文化ステーションは、子どもの多様な文化活動を推進することにより、次世代につながる先駆的な子育て・子育ちの地域環境と、子どもが豊かに育つ日本社会の創造をめざしていきます。

今ほど、子どもたちの成長・発達環境が厳しくなっている時代はありません。

家庭でも街の中でも、テレビ、ビデオ、ケータイ、パソコンなど電磁波と電子音、インターネットやニューメディアなどバーチャルな文化環境の中で、子どもたちの「からだ」と「こころ」の成長・発達は危機に瀕しています。

また、社会・経済構造の変化にともなう所得格差や労働環境の厳しさ、生活のゆとりのなさ、モラルの低下は、社会全体に未来に対する閉塞感をうみ、子どもたちの原風景に暗い影を落としています。

ゆったりとした時間の流れ、子どもの声を聴きとり、子どもが安心してゆだねられるようなゆとりある人間関係、子どもの成長・発達・自立を育む<文化的生活>が今ほど必要とされる時はありません。

子どもたちは、年齢を超えた遊びや交流、心ゆさぶられる芸術・文化との出会い、自然の中で得られる“センス・オブ・ワンダー(驚き心)”、感動を分かち合う体験、他者との交流等を通して、人間や社会に対する想像力を獲得し、自己肯定感を育み感性豊かに育っていきます。

1989年に国連で採択され、1994年に日本政府が批准した「子どもの権利に関する条約」では、第31条で、「休息・余暇、遊び・レクリエーション、文化的生活・芸術への参加」に関する権利が、<子どもの文化権>として提起されています。2001年には、わが国でも“文化権”を組み込んだ「文化芸術振興基本法」が制定され、文化・芸術活動の公共的性格が認知されました。

“文明の衝突”といわれ、グローバル化のもと世界の民族対立が激しくなっている今、それぞれのアイデンティティを尊重しつつも、多様な価値観を認め、様々な民族が文化的共存をめざしていく上で、異文化交流の重要さも増しています。

なかでも、文化活動を通したコミュニケーション、芸術活動が育む想像力に注目して、子どもの異文化交流をすすめていきます。

私たちは、子ども・子育て・芸術文化を豊かにしてきたわが国の市民文化活動の経験を受け継ぎつつ、21世紀を迎えた今、子どもが社会の構成員として認知され、子どもとおとなのパートナーシップ、地域の諸団体、NPO、行政、企業などとのネットワーク・協働を通して、子どもがゆたかに育つ地域社会をつくっていきたいと考え、特定非営利活動法人子ども文化ステーションを設立します。